工場立地法について発注者が知っておくべき4つのポイントについて

facbird

 

これから工場を建設しようとしている企業や個人にとって、工場立地法の遵守は避けては通れない道だ。特に大きな敷地で、大規模な工場を計画している場合は深く関係する。立地法を無視した場合、企業に与えるダメージは大きく、知らなかったで済まされない状況となってしまうことも考えられる。

基本的には設計者や工事会社などの専門家と進めていくことになるが、専門家に任せきりにするのでは無く、発注者が自らが情報を提供して設計者や工事会社と協力しながら作業を進めることで、後戻りやトラブルも事前に防ぐことができる。

そのためにも、今回は工場立地法について発注者として知っておくべきことを分かり易く解説させて頂く。

工場立地法とは何か?

工場立地法とは、工場が建設される地域の環境を維持するために、工場の面積を規制し、敷地内に緑地等を設置するための法律だ。特定の業種の工場、一定規模の敷地面積及び建築面積を超える工場に対して適用される。

基本的には国(経済産業省)が定める基準によるが、一部については都道県及び市町村が条例により基準を定めることができる。下記に重要となるポイントについて解説する。

 

1.工場立地法による届け出が必要な建物とは?

届出の対象となるとなる建物は「特定工場」と言われるものだ。「特定工場」とは、製造業(物品の加工修理業を含む)、電気供給業・ガス供給業・熱供給業に該当する工場又は事業場で、敷地面積9,000㎡以上または建築物の建築面積の合計3,000㎡以上のものを言う。

 

製造業とはどのような業種のこと言うのか?

製造業等の範囲は、原則として日本標準産業分類による製造業、電気供給業、ガス供給業又は熱供給業となる。

製造業に含まれる物品の加工修理業とは、製造と修理又は賃加工(他の業者の所有に属する原材料に加工処理を加えて加工賃を受け取ること)と修理を合わせて行う。船舶製造・修理業、鉄道車両製造業等の事業を言う。自動車整備業のように単に修理のみを行うものは含まれない。

また、変電所、ガス供給所、石油油槽所等は生産施設を有しないので含まれない。そして、独立した本社、支店、営業所、倉庫、中継所等も含まれない。

 

敷地面積の定義とは?

工場等の敷地面積は工場等の用に供する土地の全面積のことを言う。所有形態は関係なく、借地でも工場敷地として扱われるので注意したい。

社宅、寮、病院の敷地及びこれらの施設の用地として明確な計画のあるものは工場敷地に含まれない。社宅、寮、病院の敷地に明確な仕切りがなく面積が定められない場合は、それら施設の「建築面積÷0.6」を敷地面積から除外することができる。

公有水面に材木を浮かべた貯木場や浮きドック、桟橋等の面積は敷地面積に含めない。また、道路、河川、鉄道等に分断されている場合でも、生産工程上、環境保全上若しくは管理運営上極めて密接な関係があり一体をなしている場合は、ひとつの工場敷地としてとられる。

同じ事業者の営む製造業等以外の事業の用に供する土地が、工場の用に供する土地に一体的に含まれている場合は、全体を工場敷地となる。ただし、製造業等以外の事業の用に供する土地が道路等で明確に区分されており管理運営も別々である場合は、当該土地は工場敷地にはならない。

工場立地法における敷地面積の定義

 

生産施設とは何か?

工場立地法に関わる用語として最も重要なのが生産施設というものだ。生産施設とは、製造業における物品の製造工程(加工修理工程を含む)、電気供給業における発電工程、ガス供給業におけるガス製造工程又は熱供給業における熱発生工程(以下「製造工程」という。)を形成する機械又は装置(製造工程等形成施設)が設置される建築物のことを言う。

製造工程等を形成する機械又は装置とは原材料に最初の加工を行う工程から最終の製品ができあがるまでの工程のうち、直接製造・加工を行う工程を形成する機械又は装置及びこれらに付帯するボイラー・コンプレッサー・自家発電施設・ポンプ等の用役施設(受変電施設及び用水施設を除く。)をいう。

一時的な遊休施設は生産施設となり、廃止された施設であっても、撤去されない限り原則として生産施設としなる。ただし、事務所や倉庫等に用途替えした場合は、生産施設には該当しない。また下記のものは生産施設に該当しない。

・事務所、研究所、食堂等で独立の建物

・倉庫関連施設としての原材料、資材、製品又は機器類の倉庫、置き場、タンク等の貯蔵のための独立した施設(但し、半製品又は中間製品のタンクや倉庫で製造工程(プラント類)の区画内にあるものは除外)

・出荷、輸送関連施設(但し、生産工程の一環として製品の包装・梱包(箱詰、瓶詰、袋詰)を継続して行う施設は除外)

・独立して製品の技術開発を目的とする試験研究を行う検査所、試験室(製品の検査が生産工程の一環として行われる検査所、試験室は除外)

・自らの工場における排出物を処理するための施設

 

生産施設面積比の上限とは?

工場立地法では生産施設面積の上限が定められる。工場の業種によって、敷地面積の30%〜65%とその範囲は様々で、行政の条例によって定められる。注意すべきは生産施設面積とは、工場そのものの面積ではなく、工場の中でも実際に製品等の生産活動をしている部分であるという点だ。

つまり、トイレや廊下、その他事務スペースなどが壁等で生産活動をしている部分と明確に分離している場合は、生産施設面積には含まれない。これを知らないと損をしてしまう可能性もあるのでご注意頂きたい。

工場立地法における生産施設面積について

 

 

2.緑地を含む環境施設面積の上限

続いての重要なポイントは環境施設面積だ。環境施設面積とは緑地や噴水、流水などの修景施設、広場、屋外運動場、一般開放された体育館、企業博物館等ことを言う。これら環境施設を敷地面積の25%以上配置しなければならないのだ。

しかも、周辺環境への配慮のため、その内の15%以上は敷地周辺に設置しなければならない。環境施設面積の配分は緑地は20%以上、それ以外は緑地以外の環境施設で設置することになる。但し、この比率は市町村で決めることができるので、各条例をチェックして欲しい。

緑地の定義は、市町村によって異なる。注意すべき点は、樹木の大きさによって設置すべき間隔や本数などが定められ、緑地と見なされる面積が異なるという点だ。せっかく緑地を設置したとしても緑地として見なされない可能性もあるので注意したい。

また、環境施設面積は市町村によっては、雨水浸透施設、太陽光発電施設が含まれることもある。その他、工場又は事業場の周辺の地域の生活環境の保持に寄与することが認められるものも含まれることもある。

 

3.工場立地法の設置期限

工場立地法については、基本的には工事着工の90日前までに届出が必要となる。しかし自治体によっては短縮申請を受け付けていることがあり、その場合は工事着工の原則30日前まで短縮が可能なケースが多い。

例えば尼崎市の場合は、工場立地法の届出を行う日までに工場緑化等の実施の届出を提出し、さらにその30日前(工事着工の60日前)までに工場緑化等の事前協議書の提出を行えば短縮申請を受け付けてくれる。

工事着工前は確認申請などの作業で時間が取れないことが多く、着工の90日前までという条件はかなりハードルが高い。よって短縮申請を行うケースが多いのも事実だ。

 

4.既にある工場の場合の特例とは?

既にある工場で工場立地法が施行される以前に建てられた場合は、直ちに現状の工場立地法に合わせて緑地面積や環境施設面積を確保するのが難しいため、緩和の特例がある。

増設できる生産施設面積と緑地面積、環境施設面積について特別な計算式があり、該当する場合は市町村の条例をよくチェックしておく必要がある。

また、現状の敷地面積の大きさ、生産施設面積の広さ、緑地面積等によっては、増設ができない場合があるので注意したい。

実際の工事建設プロジェクトが始まった場合においても、発注者が知っておくべきことはたくさんある。下記記事を参照頂きたい。

工場建設の工事費用について発注者が知っておくべき4つのポイント

 

最後に

工場立地法は、これから工場を建てる上で避けては通れない道であるので、発注者であれば必ず全体像は把握していなければならない。もちろん、具体的な計画は専門家に任せれば良いのだが、実際に市町村との打ち合わせには同行する必要があり、届け出の主は発注者であることを忘れてはならない。

今回は工場立地法に関する一般的な解説をさせて頂いたが、各市町村の状況によって事細かに条例が定められているので、まずは工場を建てる敷地の行政の問い合わせることから始めてみよう。

不明点があれば当サイトの専属スタッフが対応させて頂くので下記より問い合せ頂きたい。

お問い合わせ/アーキクラウド

 

 

山田博保
株式会社アーキバンク代表取締役 一級建築士
建築業界での経験を活かしたWEBメディアを運営。工事のマッチングサイト「アーキクラウド」や設計事務所、インテリアデザイナー紹介サイト「アーキリンク」を手がけながら、建築業界における物販事業、WEBコンサル事業にも携わる。

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ